ゴルフ練習場でよく見かけるトップトレーサーは、打球の軌跡や飛距離をがわかる便利な測定器です。
しかし「飛ばない」「飛距離がおかしい」と感じる方も多いようです。
この記事では、トップトレーサーの精度をゴルフ弾道測定器の最高峰であるトラックマンと比較しています。
さらに、トップトレーサーの飛距離やヘッドスピード、ボール初速についても詳しく解説し、トラックマンよりおすすめの弾道測定器もご紹介します。
・手軽に練習で使うならトップトレーサーで十分
・正確なデータが欲しい場合はトラックマンが設置されている練習場か、スカイトラックなどの個人向け測定器を検討するのがおすすめ
トップトレーサーの精度

トップトレーサーは、練習場の屋根などに設置されたカメラでボールの軌道を追跡し、データを算出するシステムです。
画像解析技術を使用しているため、設置環境や天候、ボールの状態などによって測定精度に影響が出ることがあります。
特に、以下のようなことが影響します。
- 練習場のボールとコースボールの違い
- 風や霧の影響
- ボールのスピン量の違い
- 練習場ごとの補正係数の違い
- カメラの性能
- 照明(暗い場所や逆光の環境)
- ネットの高さ(ネットが低いと、ボールがネットに当たる前にカメラの追跡範囲から外れてしまい、正確なデータが得られないことがある)
そのため、精度が一定とは言い難いです。しかし、練習における飛距離の目安や弾道の傾向を把握するには十分な精度と言えるでしょう。
一覧表
以下の表は、各社公式サイト、ゴルフ関連サイト等に基づきます。あくまで参考程度にご覧ください。
項目 | 精度 | 解説 |
---|---|---|
飛距離(キャリー) | 〇 | 比較的正確だが、長い番手で誤差が大きくなる傾向。短い番手では比較的高い精度。 |
飛距離(トータル) | ▲ | 地面の状態や風の影響で実際との差が出やすい。ソフトウェアによる推定値のため、あくまで参考程度。 |
ボール初速 | 〇 | 比較的高い精度で測定可能。直接測定ではないため、最高精度ではない。 |
打ち出し角度 | 〇 | 比較的高い精度で測定可能。直接測定ではないため、最高精度ではない。 |
最高到達点 | 〇 | 比較的正確だが、風の影響を受ける可能性あり。無風状態であれば比較的正確。 |
曲がり幅 | 〇 | 概ね正確だが、強風時に誤差が生じる可能性あり。 |
着地角度 | ▲ | 実際のコース状況との差が出やすい。 |
滞空時間 | 〇 | 比較的正確に測定可能。 |
飛距離(飛ばないのは風の影響?)
表示される飛距離が実際より飛ばないと感じる理由について、大きく分けると、計測システム、練習環境、スイングとボールの3つの要因が考えられます。
①計測システム
トップトレーサーはカメラでボールの軌道を追跡するため、風の影響を受けやすいです。
風速や風向きを正確に測定するのは難しく、表示される飛距離はあくまで目安として捉えましょう。
特に風の強い日は、実際の飛距離との誤差が広がる可能性もあります。
また、練習場のボール(レンジボール)はコースボールより飛ばないため、飛距離を補正する機能がありますが、完全に補正しきれない場合があります。
②練習環境
打席のマットの状態やカメラの設置状況も、計測に影響を与える可能性があります。
③スイングとボールの状態
スイングのミート率、スピン量、打ち出し角度などが悪いと、そもそも飛距離が出ません。また、ボールの状態(古さや傷)も飛距離に影響します。
特にスイングに原因がある場合は、計測器の数値だけでなく、スイング自体の改善が飛距離アップにつながります。(ヘッドスピードの改善には自宅でも練習できるスイングトレーナーが効果的です)
ヘッドスピード
トップトレーサーでは、ヘッドスピードも計測できますが、おおよその目安としては十分な精度と言えます。
しかし、ボールの速度から逆算して算出しているため、トラックマンなどの直接測定する機器に比べると精度は劣ります。
厳密な測定には専用のヘッドスピード測定器(ユピテル等)を使用する方が良いでしょう。
また、ガーミン Approach R10であれば、トップトレーサーでは計測できないデータも取得できるため、スイング分析に役立ちます。
一般的に、直接測定方式はボール速度からの逆算よりも精度が高いとされています。
ボール初速
トップトレーサーでもボール初速を計測できますが、ヘッドスピード同様、直接測定ではないため、トラックマンなどの機器に比べると精度は劣ります。
初速65m/sの場合の目安
- ドライバーで約250ヤード前後の飛距離に相当
- 打ち出し角やスピン量によって実際の飛距離は変わる
- レンジボールを使用していることや風の影響を考慮する必要がある
- 実際のコースではこの初速でもっと飛ぶ可能性が高い
初速70m/sの場合の目安
- プロゴルファーレベルの初速
- ドライバーで約250〜280ヤード以上の飛距離に相当
こちらもあくまで目安であり、様々な要因によって飛距離は変動します。
レンジボール
練習場で使用されるレンジボールは、コースで使用するボールと比べて、耐久性を重視して作られているため、飛距離性能が劣ることが一般的です。
そのため、トップトレーサーで表示される飛距離は、コースボールを打った場合よりも短くなる傾向があります。この差は、特にドライバーなどの飛距離の出るクラブで顕著になります。
また、レンジボールは使用頻度が高いため、表面の劣化や変形が進んでいる場合があります。
このようなボールを使用すると、スピン量や打ち出し角度などのデータにも影響が出ることがあります。
トップトレーサーとトラックマンの精度を比較
以下の表は、各社公式サイト、ゴルフ関連サイト等に基づきます。あくまで参考程度にご覧ください。
項目 | トップトレーサー | トラックマン |
---|---|---|
飛距離 (キャリー) | ボールの飛距離を測定。 〇比較的正確だが、長い番手で誤差が出やすい | ボールの飛距離を測定。 ◎高精度で風の影響を受けにくい |
飛距離 (トータル) | トータルは着地点を推定。 ▲地面や風の影響を受けやすく推定値のため参考程度 | 着地点を直接測定。 ◎高精度 |
ボールスピード | ボールの初速を測定 〇比較的高い精度だが、直接測定ではない | ボールの初速を測定 ◎高精度 |
打ち出し角度 | ボールが打ち出された角度を測定。 〇比較的高い精度だが、直接測定ではない | ボールが打ち出された角度を測定。 ◎高精度 |
打ち出し方向 | ボールが打ち出された方向を測定。 〇概ね正確だが、風の影響を受ける可能性あり | ボールが打ち出された方向を測定。 ◎高精度 |
最高到達点 | ボールの最高到達地点を推定。 〇比較的正確だが、風の影響を受ける可能性あり | ボールの最高到達地点を測定。 ◎高精度 |
スピン量 (バックスピン/サイドスピン) | ▲測定不可 | ボールの回転量を測定。 ◎高精度 |
スピン軸 | ▲測定不可 | ボールの回転軸を測定。 ◎高精度 |
カーブ (曲がり幅) | ボールの左右の曲がり幅を測定。 〇概ね正確だが、強風時に誤差が生じる可能性あり | ボールの左右の曲がり幅を測定。 ◎高精度 |
着地角度 | ▲測定不可 | ボールが着地する角度を測定。 ◎高精度 |
滞空時間 | 〇比較的正確 | ◎高精度 |
クラブ測定 | ▲測定不可 | クラブスピード、アタックアングル、ダイナミックロフト、フェース角、クラブパスなどを測定。 ◎非常に高精度 |
データ分析/レポート機能 | 過去のショットデータを記録し、進捗状況を確認できる「マイプラクティス」機能があるが、トラックマンに比べると簡易的。 | 測定データを詳細に分析し、カスタマイズ可能なレポートを作成できる。 ◎トップトレーサーより高度な分析が可能 |
シミュレーション機能 (一部施設/ソフトウェア) | 「バーチャルゴルフ」機能がある施設もあるが、トラックマンに比べるとコースの種類やグラフィックの質は劣る場合がある。 | バーチャルゴルフは、データとの連携により、より効果的な練習が可能。 ◎トップトレーサーより高精度でリアルなシミュレーションが可能 |
ゲーム/エンターテイメント | ニアピン、ドラコン、ターゲットプラクティスなどのゲーム機能が充実。 | アミューズメント性は低い。 トップトレーサーの方がゲーム機能が充実。 |
トップトレーサーは練習場で手軽に使えるエンタメ要素の強い測定器、トラックマンはプロや上級者向けの非常に高精度な測定器と言えます。
おすすめの弾道測定器3選
個人で購入できる弾道測定器として、以下の機種がおすすめです。
以下の弾道測定器は、トップトレーサーよりも手軽に導入でき、トラックマンほどの高精度ではないものの、練習や分析に必要なデータを得ることができます。
①スカイトラック
家庭用として人気の高い弾道測定器です。コンパクトで持ち運びやすく、手頃な価格帯ながら、必要なデータはしっかりと測定できます。シミュレーションゴルフとしても楽しむことができます。
★参考記事>>スカイトラックとトラックマンと比較
②ガーミン Approach R10
ゴルフウォッチなどで有名なガーミンから発売されている弾道測定器です。コンパクトで持ち運びやすく、手頃な価格帯です。手軽に弾道測定を始めたい方におすすめです。
③Rapsodo MLM2 Pro
カメラとレーダーのハイブリッド方式を採用した弾道測定器です。ビデオ分析機能が充実しており、スイングの映像分析を行いたい方におすすめです。
ラプソードMLM2 プロについての詳しい記事はこちら。
まとめ:トップトレーサーとトラックマンの精度を比較
トップトレーサーは練習場で手軽に飛距離などが測れる便利な機械ですが、風の影響を受けやすく、精度は最高レベルではありません。
特にトータル飛距離は推定値なので、目安程度に考えましょう。
ヘッドスピードやボール初速も測れますが、直接測定ではないため、トラックマンほど正確ではありません。
トラックマンはプロも使う高精度な測定器で、測定できる項目も多く、風の影響も受けにくいです。
💡結論
- 手軽に練習で使うならトップトレーサーで十分
- 正確なデータが欲しい場合はトラックマンが設置されている練習場か、スカイトラックなどの個人向け測定器を検討するのがおすすめ