フジクラのSPEEDER NX BLACK(スピーダー NX ブラック)は、ドライバーの球をつかまえやすくしながら、当たり際のヘッドのブレを抑えることを目指した先中調子のシャフトです。右に残る球や低い打ち出しに悩み、軽快に振り抜きたい方におすすめです。
先端側の動きを生かしつつ、ねじれ方と曲がり方を細かく調整しているのが特徴。40から70まで重さを選べるので、軽さを求める方も、重さを感じながら振りたい方も検討できます。
ここでは、SPEEDER NX BLACKならではの設計、合う人・合わない人、50Sと60Sの違い、公開試打で取り上げられたヘッドとの組合せを紹介します。手持ちのドライバーに装着する際の購入条件も見ていきましょう。
SPEEDER NX BLACKの特徴:先中調子に、当たり際の支えを加えた設計
先中調子とは、シャフトの先端寄りから中間にかけてしなりを感じやすい性格を表す言葉です。SPEEDER NX BLACKは、その動きを使って振り抜く心地よさと、芯を外したときの安定感を両立させようとしたモデルです。
SPEEDER NX BLACKの主な特徴
- 先中調子の動きを生かし、球のつかまりや打ち出しを助けたい方に向く設計です。
- 先端から中間のねじれにくさを高め、インパクト時のヘッドのブレを抑える工夫をしています。
- 先端部分の曲げ剛性も調整し、芯を外したときの左右のばらつきを減らすことを目指しています。
- 40・50・60・70の4つの重量帯があり、重さとフレックスを組み合わせて選べます。
VTCで「ねじれ」と「曲がり」を別々に調整
VTCはVARIABLE TORQUE COREの略で、シャフトの場所ごとにねじれ方を調整するフジクラの技術です。SPEEDER NX BLACKでは、先端から中間にかけてねじれにくくしています。それに加え、先端部分の曲がりにくさも調整しています。
この2つの工夫が、ヘッドを走らせたいけれど当たり際に頼りなく感じるのは嫌、という希望につながります。メーカーはSPEEDER EVOLUTION Ⅶとの比較テストで、芯を外した打点のばらつきを抑えたと説明しています。
単に硬くして動かなくするのではなく、先中調子の動きを使いながら打点のズレにも配慮しているところが、SPEEDER NX BLACKの魅力です。
SPEEDER NX BLACKが合う人
- 球が右に残りやすく、シャフトの動きでつかまりを補いたい人。
- 低い打ち出しが気になり、高さを得てキャリーを出したい人。
- 先端側の動きはほしいけれど、当たり際の頼りなさを減らしたい人。
球が右に残りやすく、つかまりを補いたい人
振り切ったつもりでも球が右へ出てしまう方には、SPEEDER NX BLACKのつかまりを助ける動きが魅力です。メーカー公開の対談でも、鶴原弘高氏はドライバーの球が右へ吹けるアマチュアとの相性に言及しています。
フェアウェイ右側へ逃げる球を減らしたく、今よりヘッドが戻る感覚を得たい方におすすめです。一方、すでに左へ大きく曲がる球が多い方は、つかまりを増やすことより左へのミスを抑えるシャフトを優先したいですね。
低い打ち出しが気になり、高さを得てキャリーを出したい人
低スピンのドライバーで、球が十分に上がらず途中で落ちるように感じる方も、SPEEDER NX BLACKを検討したいところです。公式の公開試打では、石井良介プロが打ち出しを上げる働きとスピンの入り方を評価しています。
池やバンカーを越す場面では、着地してから転がる距離より、空中を進むキャリーが大切になります。低い球のランで距離を稼ぐことより、高さを得てキャリーを伸ばしたい方に合った方向のモデルです。
反対に、高く吹け上がって距離を失っている場合は、ロフトや打点、シャフトを含めたスピンの抑え方が先になります。SPEEDER NX BLACKへ替えれば必ずスピンが増えるわけではないので、低い球の原因が高さ不足なのか、スピン不足なのかも分けて考えたいですね。
先端側の動きはほしいけれど、当たり際の頼りなさを減らしたい人
先調子系の走る感覚が好きでも、芯を外すとヘッドが負けるように感じる方はいます。SPEEDER NX BLACKは、先端側の動きと当たり際の安定感を一緒に求める方へおすすめしたいシャフトです。
メーカー公開の試打では、先中調子が苦手だという鶴原弘高氏も、中間部分にしなりを感じたと話しています。先端だけが急に走る感覚を求めるより、振り抜きやすさも大切にしたい方に魅力があります。
SPEEDER NX BLACKが合わない人
- 左への引っかけやつかまりすぎが主な悩みで、つかまりを増やしたくない人。
- すでに球が高く吹け上がり、スピンを減らすことを最優先したい人。
- 手元の大きなしなりを待って打つ感覚が好きで、先端側の走りを求めていない人。
今のシャフトで高さも方向も安定している方は、SPEEDER NX BLACKへ替える必要はありません。見た目の黒色や新しいシャフトへの興味より、変えたい球があるかどうかが購入する理由になります。
つかまりを抑える側のSPEEDER NX GREENが気になる方には、SPEEDER NX GREENの特徴と合う人も参考になります。現在のシャフトでタイミングが取れているなら、その良さを残す判断も大切です。
SPEEDER NX BLACK 50Sと60Sの違い:9gの重さの差がある
SPEEDER NX BLACK 50Sは56.5g、SPEEDER NX BLACK 60Sは65.5gです。同じSでも9g違い、同じ重さのまま硬さだけを変える関係ではありません。
| SPEEDER NX BLACKの仕様 | 公表重量 | トルク |
|---|---|---|
| 40 R2/R/SR/S | 46.5/48.0/49.5/51.0g | 5.6度 |
| 50 R/SR/S/X | 53.5/55.0/56.5/58.0g | 4.9度 |
| 60 SR/S/X | 64.0/65.5/67.0g | 3.8度 |
| 70 S/X | 75.0/76.5g | 2.9度 |
重量は46インチの製品長での公表値です。ドライバーとして組み上げたときの総重量とは異なります。トルクはねじれ角の指標で、同じ重量帯ではRからXまで表の値が共通です。
SPEEDER NX BLACK 50S:軽快さを保ってSを選びたい方に
50g台のシャフトの重さに慣れていて、軽快に振り抜きたい方にはSPEEDER NX BLACK 50Sがおすすめです。60g台のシャフトではラウンド後半に重さが気になる方にも、56.5gという重さが選ぶ理由になります。
SPEEDER NX BLACK 50の中では、Rが53.5g、SRが55.0g、Sが56.5g、Xが58.0g。50Sだけに決めず、しなりをゆっくり感じたい方にはRやSRという選択肢もあります。
SPEEDER NX BLACK 60S:重さを感じながら振りたい方に
今の60g台のシャフトを無理なく振れていて、その重さを保ちながら先中調子の動きを使いたい方にはSPEEDER NX BLACK 60Sが向きます。軽くすると手打ちになりやすい方にも、重さを感じて振れる点が魅力です。
一方、60g台を重く感じているのに、硬さの安心感だけでSPEEDER NX BLACK 60Sを選ぶ必要はありません。SPEEDER NX BLACK 50Sでも同じSフレックスを選べます。
ドライバーのヘッドスピードだけで50S・60Sを分けるより、いま振り切れているシャフトの重さと、求めるしなり方を合わせるほうが選ぶ理由をはっきりさせられます。
50Sはどんなヘッドで使われている?
50Sの具体的な装着例として、みんなのゴルフダイジェストは2025年11月1日の高橋彩華プロのクラブ紹介で、テーラーメイド Qi35 LSの9度とSPEEDER NX BLACK 50Sの組合せを掲載しています。
同記事で本人がドライバー選びで重視しているのは方向性です。50Sは軽さだけを求める仕様ではなく、方向をまとめたいセッティングでも選択肢になります。ただし、この使用例から「女子プロと同じなら合う」「9度が最適」と決めるのは早いところ。今のヘッドで50g台を気持ちよく振れている方は、まず同じ重量帯で、打ち出しと左右の散らばりを比べてみましょう。
高橋彩華プロのクラブ紹介とSPEEDER NX BLACK 50Sの装着例
SPEEDER NX BLACKに合うヘッドは?パラダイム ドライバーとの組合せ例
SPEEDER NX BLACKは、つかまりやスピンを補いたいときに、低スピン寄りのヘッドとの組合せを考えやすいモデルです。ただし、左へのミスが多いのか、球が低く落ちるのかによって、合うヘッドは変わります。
GDOの公開記事では、クラブフィッターの吉田智氏が、SPEEDER NX BLACKに合わせるヘッドとして次の3モデルを挙げています。
| ヘッド | 吉田氏が挙げた組合せの良さ |
|---|---|
| パラダイム ドライバー | スピンを抑えた設計と、程よいつかまりでシャフトの動きを生かす |
| ローグ ST MAX ドライバー | つかまりの強さとバランスの取れた性能を生かす |
| パラダイム ◆◆◆ ドライバー | 低スピンヘッドと組み合わせ、飛距離を狙う |
なかでも、つかまりとスピンのバランスを取りたい方には、吉田氏が最上位に挙げたパラダイム ドライバーとの組合せが参考になります。記事内のSPEEDER NX BLACK 50S装着例は総重量312gです。
4plusも、パラダイムを共通のヘッドにして、SPEEDER NX BLACKの4S・5R・5SR・5S・5X・6SRをヘッドスピード40m/sで比較する試打を公開しています。ヘッドを替える前に、同じヘッドで重さや硬さを比べる方法が参考になります。ここから40m/sなら5Sが最適、とまでは決められません。
上の3モデルは2023年のヘッドを対象にしたフィッターの評価です。最新のドライバーへ一律に置き換えず、すでにパラダイム ドライバーを持っている方なら、ヘッドを生かしたままシャフトを替える検討に役立ちます。
GDO:SPEEDER NX BLACKとキャロウェイ製ヘッドの組合せ
SPEEDER NX BLACKの評価は?つかまりは魅力でも、飛距離の評価は分かれる
SPEEDER NX BLACKは、右へ残る球をつかまえたい方には魅力があります。ただ、つかまったからといって、必ず飛距離まで伸びるわけではありません。公開レビューを見ても、振りやすさと飛距離は分けて評価されています。
まさ氏は、コブラ AEROJET LSの9.0度ヘッドにSPEEDER NX BLACK 60Sを装着し、素直なしなりとつかまりを評価。一方、左へのミスを減らしたい方にはすすめないとしています。つかまりを足したい方と、左を避けたい方で、評価が分かれやすい性格です。
まさ氏によるSPEEDER NX BLACK 60Sの試打レビュー
GEARNOTEでは、SPEEDER NX BLACK 60Sを複数のヘッドで試し、つかまりや一部の組合せの方向性を認めながらも、初速や飛距離には厳しい評価をしています。エピック フラッシュ サブゼロ9度では平均スピン量2569rpm、パラダイム トリプルダイヤモンド9度では2927rpmと、同じシャフトでも結果が異なります。ヘッドスピードも同一ではないため、これだけでヘッドの優劣は決められません。
GEARNOTE:SPEEDER NX BLACK 60Sを複数ヘッドで試したレビュー
my caddieには、SPEEDER NX GREEN 60SからSPEEDER NX BLACK 50Sを試して振りやすく感じた投稿がある一方、G430 MAXにSPEEDER NX BLACK 50Sを組んだ方が、ハードヒッターにはつかまりすぎるかもしれないと評した投稿もあります。気持ちよく振れることと、左へのミスが増えないことを一緒に確かめたいですね。
my caddie:SPEEDER NX BLACKの使用者・試打者の口コミ
購入を考えるなら、いまのシャフトと同じヘッドで数球ずつ交互に打ち、平均のキャリーと左右の幅を比べるのがおすすめです。右へのミスが減っても左の大きな曲がりが増えるなら、コースでは狙いにくくなります。最長の1球より、フェアウェイを狙って繰り返せる球を選びましょう。
SPEEDER NX BLACKを購入するなら、スリーブ付きとシャフト単品を区別
手持ちのヘッドを使う方には、対応するスリーブとグリップが付いた商品が便利です。SPEEDER NX BLACKのメーカー希望小売価格は44,000円(税込)で、組立費とグリップ代は含まれていません。店頭の組立済み商品の価格とは分けて見ておきましょう。
下の購入先は、ティーオリーヴのPING G430・G425・G410用の互換スリーブ付きSPEEDER NX BLACKです。PING純正スリーブではなく、G400以前とは互換性がない商品として販売されています。
重量・フレックス・長さ・グリップを指定するオーダー品なので、50Sを買うなら「50・S」と希望の長さを指定します。注文後のキャンセル・変更はできないと案内されているため、使うヘッド名まで合わせて注文しましょう。
キャロウェイやテーラーメイドのヘッドを使う方は、それぞれに対応したスリーブの商品が必要です。パラダイム ドライバーとの組合せ例で紹介したシャフトの性格と、下のPING用商品の取付条件は別になります。
まとめ:SPEEDER NX BLACKはつかまりと高さを助けたい方に
SPEEDER NX BLACKは、先中調子の動きに、先端から中間のねじれにくさと当たり際の支えを加えたシャフトです。右へ残る球や低い打ち出しを変えたい方、軽快に振りながらも頼りなさを減らしたい方におすすめです。
50g台の軽快さを保つならSPEEDER NX BLACK 50S、今の60g台の重さを気持ちよく振れているならSPEEDER NX BLACK 60Sが選びやすいでしょう。左へのミスや吹け上がりが主な悩みなら、つかまりや高さを増やす方向へ替える必要はありません。
欲しい球と今のシャフトの重さがつながる方には、手持ちのドライバーを生かせる、魅力のある1本です。

